パパじゃない。
私は鬼を"父さん"もしくは"とう"と呼んでいる。いたって普通。
中学の頃、友達が未だにパパって呼んでいるのを聞いて
子供っぽいし恥ずかしくないのかなって思ったことがある。
それを母親に伝えると、
私も小さい頃一度だけ鬼を"パパ"と呼んだことがあったらしい。
へえ全然覚えてない。なんでやめたの?
お父さんが怒ってね、
"俺はパパじゃない‼父さんと呼べ!"って怒鳴り付けたから。
あー。
リトルケイ時代の友達は皆パパ呼びだったから真似でもしたんだろう。
記憶にないと言えど、なんだかリトルケイが気の毒になった。
きっと怒られた理由も分かってなかっただろうに。
呼び方を気に止め"未だに"なんて期限があるとでも決めつけたのは、
それは"パパ"と呼べる父親であることに嫉妬したからなのかもしれない。
プロローグ-ハイスペック鬼父のもとに生まれて-
世の中にはいろんな父がいる
無関心ダディ、
鬼のダディ、
尻に引かれるダディ、
優しいダディ、等々。
親は子を選べないし、子も親を選べない。
これは出来損ないのリトルケイとハイスペック鬼父の話。