鬼が買ってくれてたもの
幼いころから父を警戒していたせいか、何かをせがむことはそこまでしなかった
せがむ相手くらい把握してる
でも唯一本屋を通り過ぎると父がいつも買ってくれるものがあった
おとぎ話の小さな絵本シリーズだ
イギリスに行くときにもすべて持って行った
全シリーズは集められなかったけど私の想像力の多くはそこの絵からだった
何回も何回も読み直して飽きなかった
初めて読み聞かせをできるようになったのもその絵本の一冊だった
読むことや書くことを好きになるきっかけをくれたのは
間違いなく優しい鬼のおかげだった